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【実践】学校改革とセルフスタディ~校長としての2期4年の取組み~

執筆者の写真: 竹村哲竹村哲

更新日:3月6日

2014年4月に富山大学附属特別支援学校長として着任して早々、私はこの学校の置かれた状の把握に努めました。そのために、第三者を加えて客観的に分析する「学校支援プロジェクト」と当事者で反省的に振り返る「自己点検プロジェクト」を順次立ち上げました。これらの検討結果を踏まえ、今度は学校全体で課題認識の共有化をはかりました。そして、ここでの議論を受けて校長の職責において学校の根本的因を特定し、これを解消するための改革ビジョンを提示しました。それが、「格(格率)をあげる~同僚共生と学校の社会適応~」です。教師の主体的な学びの資質を高めて、新しい共生観を培うことを謳いました。

その上で自律分散型組織学習モデルをもとにした策(3ヶ年アクションプラン)を策定し、さらに二つのプロジェクトを管理職会の直轄管理のもとに立ち上げました。

一つは、「教育改革プロジェクト」です。自己変革を進める足枷を解消することを主な責務とします。そしてもう一つが主体的な学びを促すミドルリーダーを育てる仕組みとして設けた「学びあいの場」推進プロジェクトです。これはセルフスタディで肝要な弁証法的統合の学校風土を培う足場(scaffolding)にあたります。(このプロジェクトの活動は、その後独立行政法人教職員支援機構「教員の資質向上のための研修プログラム開発・実施支援事業」の助成を受けて探求型の教員研修ビデオの制作へと展開しています。[参照 画像リンク])

ただし、このようなプロジェクトを創れば、おのずと教師の仕事が増えます。したがって、これに伴う校務負担の削減を並行して行わなければなりません。そこで、校務合理化ワーキング、教育課程見直しワーキングなどを創り、働き方改革も同時に行ってきました。業務のフラット化や分掌会議の廃止などの抜本的改変を行い、さらに県内で初めてタイムカードの本格導入によって出退勤管理を徹底することで、すべての教職員が19時には退勤できるようになりました。(この取り組みは、2018年7月に独立行政法人教職員支援機構の「NITSカフェ」キックオフセミナー『教師の働き方改革:多忙化の改善に向けて』で採録されました。[参照 画像リンク])

さらに、これら一連の取組みは逐次刊行物年報として発行することとしました。これは学校組織と教師一人ひとりの自己点検報告書(セルフスタディ・レポート)です[参照 2017年学校年報]。この内容は問題解決アプローチである「現・原・対・変」の「」にあたります。これによって学校の自己変容を辿ることができまるのです。たとえ毎年の異動によってメンバー構成が変わったとしても、後進が学び続けるための原資を遺すことで持続可能な変革を進めることができるのです。



以上、在任期間は2期4年でしたが、初年に掲げた学校改革ビジョンを念頭にした様々な取組みを通じて多忙解消(残業月平均24時間短縮)、入学受験率の向上(2倍から6倍へ)だけでなく教師の同僚性向上(EQ開発)を実現することができました。

(第4講 【実践】学校のセルフスタディ活動より抜粋再構成)



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