これからの教師が果たすべき大切な役目は、子どもの見方・考え方を豊かにすることです。すなわち、子どもの真実を見る目、他者を見る目、自分自身を見る目、そして弁証法的統合という考え方を培うことです。そのためには、少なくとも合理的配慮(reasonable accommodation)やジェンダー(gender)などのインクルーシブ教育や課題探求型の教育で正解のない「開かれた授業」[パーマー2000]をどう展開し、プロンプターとしてどう関わっていくかについて踏まえておかなければなりません。そのための指導案はありません。あるとするならば学びの処方箋「学習レシピ」というべきものであると考えます。私は、これに相当するものとして、前述した仮説実験モデルのソフトシステムズアプローチを採用しています。この問題解決プロセスの中で、子どもの学びの観察者として、同時に関わりの当事者として教師も学ぶのです。つまり「開かれた授業」[同書]で教師が着目するべきは、子どもたちの経験と意味づけです。想像・記憶・知覚を使った時間的空間的そして対人関係的な捉えの深まりを見取るのです。ただし、これは決して容易ではありません。その最大の理由は、この学習レシピには指導案にあるような明確なゴールがないことです。変化を教師のアクションラーニングによって捉えるしかありません。見方・考え方が豊かになったとして、これで良しとする閾値はありません。この見極めは教師の見識に委ねざるを得ないのです。教師には、この点で大変重い責任があるのです。(第4講 プロンプターとしての主体的な学びのエドゥケアシップより抜粋)

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